派遣社員の意思はどこに??
ご存じの方も多いかと思いますが、派遣には「通常派遣」と「紹介予定派遣」があります。
一番の違いは、紹介予定派遣は将来的に派遣先企業に「直接雇用」される事が前提です。
その他主な違いは
<派遣期間>
通常: 最長3年まで
紹介予定: 最長6か月
<選考時の個人情報開示>
通常: 派遣先企業には、氏名以外、個人情報の提供は禁止
紹介予定: 派遣先企業へ個人情報の提供OK
<選考>
通常: 原則的に、派遣先企業による面接は禁止
紹介予定: 正社員同様、派遣先企業による面接OK
といった感じです。
紹介予定派遣は6か月以内に直接雇用に至らなければ、派遣契約は終了。
このルールはとっても基本的な事で、コンサルタントも当然理解しています。
紹介予定派遣の契約で、もうすぐ半年を迎える派遣社員がいました。
派遣先企業はこの方を直接雇用したいと言っていたのですが、派遣社員さんは何故かそれは希望しておらず、できればこのまま派遣として勤務を続けたい、と。その派遣社員の意向について、派遣先は拒否はしていない様子。
そこで、コンサルタントが業務部に
「派遣の仕事を続けられるよう、就業開始日に遡って契約書を全て作り直せないか?」
と言ってきました。
そりゃぁその方が派遣先企業にとっても、派遣社員にとってもハッピーでしょう。
その上、恐らくコンサルタントの思惑には、「今後派遣を続けさせることにより、継続的に自分に入ってくるインセンティブ」もあったでしょう。紹介予定派遣から直接雇用される場合、「人材紹介料」が発生します。ただ、通常派遣だった事にすると、この派遣社員はあと2年半就業が可能で、その期間コンサルタントに入ってくるインセンティブの方が金額としては大きいからです。
ただ、派遣のルール上、日付を遡って通常派遣だった事にする「まやかし」は、果たして良いのだろうか❓紹介予定派遣という性質上、半年で終了させるべきなのか❓❓
分からなくなって、「日本人材派遣協会」に聞いてみました。
「日本人材派遣協会」は、派遣事業の適正な運営を図るため、相談に乗ったり指導をしてくれます。いわば、駆け込み寺のようなもの。
すると、
「派遣先は直接雇用、派遣社員は派遣での就業継続を望んでいる。意向の不一致ですよね・・・ 本来なら半年で終了ではあるんですけれどねぇ、んーーーー😥」
とかなり悩んでる様子。しばらく考えたのち、
「派遣先が『直接雇用にはしない』と決めた場合は派遣法で契約終了になると定めがありますが、派遣先は『直接雇用したいと思っている』ケースに対してどうすべきかは、ちゃんとした決まりがなくてねぇ~。そうですねぇ、『通常派遣』という事にするのは、派遣社員の同意があればまぁ、してもいいんじゃないでしょうかねぇ~🙄」
と、なんともボヤーーーっとした回答。
という事は、紹介予定派遣のルールについては、「派遣先から直接雇用と言われたら、派遣社員はそれを当然受け入れるであろう」という前提のもと、定められているという事になります。
もしかしたら、派遣社員は「この会社で正社員(又は契約社員)になるのは嫌だな😟」と考えるかもしれないのに。
今回は結局、日付をさかのぼり「通常派遣」の契約書を作成しましたが、派遣法はもっと派遣社員の視点に立って定めるべきじゃないかなぁ。